年齢を重ねると、管楽器は吹けなくなるって本当?——レッスンをしていて感じること

こんにちは。普段はホルンを中心に、トロンボーンやサックスなど、管楽器を演奏されている方に向けて、身体の使い方を中心としたレッスンをしています。
今回、こちらで記事を書かせていただけることになりました。
普段レッスンをしている中での気づきや、「こんなふうに吹いてみるといいかもしれない」というちょっとしたヒントを、実際のレッスンの雰囲気も交えながらシェアしていけたらと思っています。
今回は、レッスンでも比較的よくご相談いただく、
「ブランクがあって、以前のように吹けなくなった」
「年齢とともに筋力が落ちてきた気がする」
「昔できていたことが、だんだんできなくなってきた」
といった悩みについて書いてみます。
年齢とともに変わっていくことは悪いことばかりじゃない
もちろん、年齢を重ねれば身体は変化します。
10代、20代の頃とまったく同じように吹けるとは限りません。
ついつい
「昔は吹けたのに」
「筋力が落ちたのかな」
「年齢だから仕方ないのかな」
と考えてしまいがちです。
ただ、僕がレッスンをしていて感じるのは、案外それが悪いことばかりではないということです。
若い頃に潜んでいるリスク

10代や20代の頃は、多少効率の良くない吹き方をしていても、身体の力で補えてしまうことがあります。少しくらい身体に無理があっても、息を押し込んだり、力で支えたり、どこか別のところで補正したりすることで、ある程度は音が出てしまう。
僕自身も学生の頃や20代の頃を振り返ると、そういうところがあったと思います。
音が出ているので、自分ではなかなか気づきません。
本当はもっと無理をしなくても吹ける方法があるのに、今のやり方でも一応吹けてしまう。
すると、その吹き方がいつの間にか自分にとっての「普通」になってしまいやすいんです。
年齢を重ねたからこそ身体が正直になってくれる

ところが、年齢を重ねたり、長いブランクを挟んだりすると、以前と同じような無理や補正が効きにくくなって来るんですよね。
たとえば、楽器が鳴りやすいポイントから少し外れたとき。若い頃なら、そのまま力で吹き切れていたかもしれません。
でも今は、
「なんだか急にしんどい」
「音が鳴りにくい」
「この吹き方だと長く続かない」
という反応が返ってくる。
これを単純な「衰え」と考えるのではなく、「そこは少し無理をしているよ」と身体が教えてくれている
と考えてみることもできます。
そう考えると、年齢を重ねて無理が効きにくくなることは、必ずしも悪いことばかりではありません。
むしろ、
「こっちは吹きやすい」
「これはちょっと無理をしている」
「この構えだと息が流れやすい」
「ここを変えると急に楽器が鳴る」
といった違いを、身体からのフィードバックとして受け取りやすくなります。
いわば、身体のセンサーの感度を利用して、より効率の良い吹き方を探していくわけです。
「年齢だから仕方ない」って無理に諦めなくていい

もちろん、年齢による身体の変化そのものを無視する必要はありません。
ただ、「年齢が上がった=あとはできなくなっていくだけ」
と決めてしまう必要もないと思っています。
以前のように無理が効かなくなったからこそ、自分の吹き方を見直し、より無理の少ない方法へシフトしていくきっかけになることもあります。
もし「昔より吹けなくなったな」と感じたときは、
「年齢だから仕方ない」で終わらせる前に、「今の身体は、何を教えてくれているんだろう?」
という視点で、一度自分の吹き方を観察してみてください。
意外とそこに、今まで気づかなかった上達のヒントが隠れているかもしれません。
自分だけでは「何を無意識にやっているのか分からない」「どこを変えれば楽になるのか分からない」という場合には、レッスンで実際に演奏を見ながら、一緒に整理していくこともできます。
「年齢だから」「ブランクがあるから」と諦めてしまう前に、今の身体に合った吹き方を探してみたい方は、ぜひご相談ください。